急性中耳炎に比べ症状があまりありません。中耳腔には急性中耳炎のような炎症性の膿がたまるのではなく、ねっとりした液体がたまるだけで、耳痛、耳漏、発熱はみられません。症状は難聴だけであり急性中耳炎とは異なります。
子供は耳が聞こえにくくても自分では訴えません。そのため、親の判断で通院をやめてしまうことがよくあります。
放置していると、難聴のため言葉の発達が遅れたり発音が障害されたりします。また、治癒しないと真珠腫性中耳炎や癒着性中耳炎の原因になり、生涯難聴が残りますし、入院手術が必要になります。
- 【治療方法】
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1) 鼻とのどの治療
鼻やのどの弱い子供に多いので、鼻やのどをしっかり治療します。
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2) 通気治療
耳と鼻を結ぶ管(耳管)から空気を送ることによってたまった液の排泄を促します。
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3) 鼓膜切開
鼓膜に麻酔をしたのち、鼓膜に小さな孔をあけて中耳にたまった液を取り除く方法です。鼓膜は再生力が強いので繰り返し行っても心配はありません。
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4) 中耳換気チューブ留置術
鼓膜切開を行っても治りが悪い時には、鼓膜切開後に小さなチューブを挿入します。
3から6ヶ月をめどに挿入しておきます。
聴力の改善が行えるほか、中耳粘膜の正常化を促し完治させることができます。 -
5) アデノイドの切除
この手術が必要になることは多くありません。アデノイドは耳管の出口にあるので、アデノイドが大きいと耳管をふさいでしまいます。そのようなときは全身麻酔下でアデノイドを取り除きます。
▲初期、少量の浸出液 (右耳) |
▲泡状にみられる浸出液 (右耳) |
▲中耳腔に充満する浸出液 (右耳) |
▲中耳換気チューブ留置 (左耳) |