(岐阜ラジオ(AM1431)の番組「岐阜医師会ラジオホームドクター」 平成18年12月7日放送)
アナログ式からデジタル式へこの数年間で補聴器はものすごく進歩しています。
テレビの受信信号もデジタルに変わりつつありますね。より忠実に音を処理し、実際に人が聞いている音に近づきつつあります。またどんどん小型になり、性能もアップしています。しかし、高いお金を出して補聴器を買ったのに、使ってみえない方が以外に多いのです。
「補聴器に期待しすぎていた失望派」
聴器をつければ若い頃と同じように聴こえるのではと、期待していたのだが、実際につけてみると周りの雑音が気になったり、声が響いて聴こえたりして、20万円もかけたのにと、ガッカリしてしまう人です。
「補聴器恐怖症」
自分の娘やお孫さんは補聴器をつけたから何でも聞えていると思いこみます。しかし、ご本人はつけてもみてもあまり効果がなく、聴こえていません。まわりの期待に応えられないことにより、補聴器がいやでいやで仕方なくなります。
私たちは、補聴器を買う前にどのくらい効果が期待できるのか、もしくはどのくらいしか期待できないのかを言葉の聞き取りテストをして判断しています。
人間の声は、高い音、低い音、澄んだ音、濁った音、破裂音など、いろいろな音が複雑に組み合わされています。難聴の方々は音が聴こえにくいだけではなく、音を弁別する能力に問題があるのです。この音を弁別する能力は音を大きくすることによりある程度はよくなりますが、これがよくならない人や、ごく少数ですが、かえって音を大きくして入れると悪くなる人がみえるのです。悪くなる人は補聴器の適応がないこともあります。
アドバイスとしては、補聴器に振り回されないこと。補聴器は生活を便利にする道具の一つにしかすぎません。必ずつけていなければいけないものではなく、自分が聴こえなくて困るような場面にこそっとつけてやればよいのです。
補聴器販売の方にすすめられて困ったときには、耳鼻科のお医者さんに尋ねていただければよいと思います。私も今までに多くの相談を受けてきました。納得されて購入しないと、なんとなく使わなくなってしまうことになりますから。